桜はまだかいな

うちのすぐ裏の公園に散歩に行ってきた。

すぐ裏ではあるけれど、とてつもなく広い大きな公園で、

全部を回ろうとしたらとても１日ではまわれない。

ここに、私が大好きな桜ポイントがある。

角を曲がったとたん、うわぁーーーっと桜が目に飛び込んでくる。

でもでも、いつも２３区からは２週間ほど遅れる開花。

ニュース映像では咲きかけている２３区内の様子を見ては

「まだだろうなぁ」と思いつつ、ちょっとチェックしに行ってみた。

案の定、１個も咲いてない。

が、しかし、つぼみは膨らんでいる。

あぁ、もう少しだなぁ。

春なんだなぁ。

久しぶりに行った公園は、やっぱり夫との思い出の場所ばかりだ。

っていうか、夫としかここを歩いたことがないし。

公園を抜けて昼食でも買って帰ろうと思い歩いていると

ケアマネNさんとばったり出会った。

「少し落ち着きましたか？」

会う人会う人、みんなに聞かれる。

落ち着いたのだろうか？

自分ではわからない。

「事務所が近くだから、たまに寄ってくださいね｣

ありがたいと思う。

でも、実際に時々寄ったりしたらイタイ人だと思われるのもわかっている。

時々電話をくれる、夫と一時同じ病室に入院していた人がいた。

残念なことに昨年亡くなった。

亡くなってから、その奥さんは寂しいのか暇をもてあましているのか

ペーパークラフトの白鳥（の様なもの）を作って

何度か夫が通院の時に、病院に持って来てくれたりした。

ひとつめはありがたかったけど、それが４つになるころには

正直言って、置く場所にも困るようになった。

そのうえ、夫の担当と同じだった主治医にも渡してほしいと託されたときは

「これ、前にももらったんですよ・・・」

うちも、いくつももらってるんです・・・。

こちらも困ったけど、主治医も困っているのがわかって申し訳なかった。

イタイよなぁと思った。

本当に申し訳ないけど、先週、全部紙ごみの日に捨てた。

そんな風にはなりたくない。

そんな風に思われたくもない。

誰にも迷惑をかけたくない。

だから、道でばったり会うのはいいけど、

わざわざ事務所に訪ねて行ったりはしない。

来月の中ごろ、たぶん実の娘夫婦がまた私の様子を見に来る。

そのときには、一緒にお花見ができそうな気がする。

この桜ポイント。

お母さんはここが大好きなんだよ。

あの人とよくこの道を散歩したんだよ。

外を歩いていて夫を思い出して、心が痛くなるのはどうしてだろう？

そんなことを考えた。

あ、ほら、あの場所！

ずっと空き地だったのに、コンビニができたんだね！

この道、道幅が広くなってきれいになったね。

ここ、こんなフェンスあったっけ？

そういうふうに話しかける相手がいないこと。

場所についての思い出を共有する相手がいないこと。

それは、TVを見ていても、音楽を聴いていても、

写真を見ても、ポスターを見ても、同じだ。

出会うまでは違う時間を生きてきたけど、

それぞれの思い出をすり合わせて同じ思い出にしてきた。

だからなのかな

伴侶がいなくなると半身が切り取られたような感じがするのは

そんなことを考えた。

今日も何だかあちこち体調がすぐれない。