入院7日目。壊れていく

朝、携帯に夫から空メールが来た。

メールの画面が出せなくなっていたので、文字はなくても

メールが来たことがうれしかった。

15分くらい後に今度は電話が来て驚いた。

看護師に頼んで電話ができるところまで車椅子で連れてきてもらったとのこと。

「寂しい。今日はいつ来るの?

おもらしをしちゃうから下着とシャツをたくさん持ってきてほしい。

食べられるようになったから、何かお菓子が食べたい」

何だか幼稚園児くらいの年齢の子供と話しているようだ。


病院に行くと、看護師から前開きのおむつが必要だと言われた。

3日連続で、スーパーの介護用品コーナーに行く。

どうせ必要なら、一度に全部言ってくれたら良かったのにと思う。


夫は何度も携帯電話が壊れているという。

前回、退院した時にショップで見てもらったから

壊れてないんだよと言っても理解できない様子。


夕方、持って行ったお菓子を少し食べる。

おなかが空いたのかと聞くと

「今日は夕ご飯の配膳がすごく早かったんだ。2時15分頃。

だからこんなのを食べてるんだ」

時間や曜日の感覚がおかしい様だ。


「やっぱり携帯が変な気がする。俺がおかしいのかもしれないけど」

一緒に見ながらメールを打つのを見ていると、指先の感覚が鈍くなっているようで

キーを押しているつもりで押せていなかったり、

狙ったキーとは違うところを押していたりする。

うまくキーが押せないんだねというと、納得した様子。


夫「昨日の夜、歩いて家に帰ったよね」 私「帰ってないよ」

夫「帰ってない?」 私「うん、どうやって帰ってきたの?」

夫「歩いて」 私「病院から家まで?歩けないよー。」

夫「あるけるだろう」 私「何分かかった?」

夫「30分くらい」 私「車でも20~30分かかるのに?3~4時間かかるでしょう?」

夫「そんなことないよ。10キロくらいだから…」

計算しようとして自分の方がおかしいことに気付いた感じ。


少しウトウトして目が覚めると寝ているすぐ横を指さして

夫「この人誰?」 私「誰もいないよ」

夫「いないの?」 私「どんな人が見えるの?」

夫「白いジャンパーを着たガタイの大きな男がいる」

私がそのあたりを殴るふりをしたり扇子で切り付けるふりをしてみる。

私「その人嫌がってる?」 夫「動かない」

私「動かないんだ?」 夫「木でできた人形みたい」


しっかり会話はできるのだが、話の内容がおかしい。


夕食の後、担当医が様子を見に来る。

今日は朝から調子が良さそうだということ。

どうして波があるのかと聞くと、今日の様子は、

薬を一つ増やしたのでその薬の効き目だということ。

口の周りにジオトリフの副作用らしい発疹があることを先生に言うと、

ステロイド剤を出すということと、お風呂に入って清潔にした方が良いと

看護師に指示をしていた。

そういえば、前回も今回も入院中に一度もお風呂に入っていない。


担当医が他の患者さんのところへ話しに行くと、

「おれ、ジオトリフなの?」そうだよ、とジオトリフの説明パンフレットを見せると

意外そうな顔をしていた。

オプジーボからジオトリフに変わったことを覚えていないのか。


夫「帰っちゃうと寂しくなるよ。泊まっていきなよ」 私「寝るところがないよ」

夫「ベッドはたくさんあるよ」 私「この部屋は満員だよ」あまり納得できない様子。

夫「後3~4日で退院だから我慢しよう」 私「退院決まったの?先生が何か言ってた?」

夫「言ってない」 私「先生は予定通り2週間入院だって言ったよね」

それをわかっていないのかわかりたくないのか、

勝手に退院の日にちを決めているようだ。

ほぼひとりごと

2010年、乳がん発覚(DCIS・0期)、患側全摘手術、2011年再建、2018年サイズダウン。 2015年、夫の肺腺癌発覚(胸水確認・4期)、2016年多発脳転移、2017年髄膜播種、多発骨転移、かえらぬ人に。 2017年X'mas、診断:PTSD・うつ。双極性障害の疑い。2021年、発達障害の疑い。 そんな日々の記録と愚痴。

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