俺の屍を越えて行け

夫の介護がきちんとできなかったことは

心に大きな傷となって残っている。

もう二度と誰かをそばで看取るなんてことはしたくないけど、

それでも万が一の時のために

介護職員初任者研修を受けて介護職員の資格を取った。

脳転移なのか譫妄なのか、わけのわからないことを言う夫に

どう対応していいかわからなくて

最後は黙ってそばにいるしかできなかったことも

認知症に対する理解を深めたいと思う気持ちにつながった。

(夫は認知症ではなかったけれど)

もっと最後まで楽しい時を過ごせばよかったと思う気持ちが

今しているレクリエーション介護士の勉強につながっている。


本当は全てを勉強してから、夫の介護に役立てたかった。

介護の基礎でいいから、義務教育中に誰もが習うべきだとも思った。

でもそれは、通り過ぎてみなければわからないことだ。

どんなことでも、一度経験しなければわからない。

そして初めてのことには必ず、たくさんの失敗がある。


「俺で練習ができたから、次はもっとうまくできるだろう。」

夫にそう言われているのだと思っていた。



結婚する前から、夫は私がひとりで(夫抜きで)外出することを快く思わなかった。

友人に会いに行くとか、仕事をするとか、

買い物に行くとか、散歩に行くとか、習い事に行くとか、

病院に行くとか、子供たち(私の子)に会いに行くとか、etc...

可能ならついて来たし、不可能なら外出を阻止しにかかったし、

どうしてそんなに嫌がるのか、病的なほどだったので

元妻に対してもそうだったのか聞いたら、元妻は外出フリーだったらしい。

どうして元妻は良くて、私はダメなの?

意味がわからないので、しょっちゅう大ゲンカした。


亡くなった今でも、私の外出を快く思っていないのか。

夫と知り合ってから、

一度も行かれなかったダイビング、旅行、仕事、外食、・・・。

夫が亡くなって、気兼ねなくできるようになったはずなのに、

その矢先の脳動脈瘤発見。

これから始めようとしていることを、夫が阻止しているのか。

それとも、時限爆弾(動脈瘤)を処理してから心置きなく遊べと

応援してくれているのか。


病人あるあるで、未破裂脳動脈瘤を治療した(している)人のブログを

いくつか探して読んでみた。


開頭手術、術後の痛みがハンパないらしいじゃん・・・

痛いのはイヤだよ・・・


夫の屍は大きな壁だ。

越えられない。

ほぼひとりごと

ほぼひとりごと

2010年、乳がん発覚(DCIS・0期)、患側全摘手術、2011年再建、2018年サイズダウン。 2015年、夫の肺腺癌発覚(胸水確認・4期)、2016年多発脳転移、2017年髄膜播種、多発骨転移、かえらぬ人に。 2017年X'mas、診断:PTSD・うつ。双極性障害の疑い。2021年、発達障害の疑い。 そんな日々の記録と愚痴。

0コメント

  • 1000 / 1000